誘う女


ニコール・キッドマン出演作のマイベストは、やはり「誘う女」です。

誘う女

エロビデオのような邦題が付いているのが不幸ですが、オリジナルタイトルは「TO DIE FOR」。思えばこの作品での地味目なブレイクが、現在のニコールの出発点だった気がします。

彼女が演じた、「野望達成の為だけに突き進む、田舎TV局のお天気キャスター」は、彼女以外の配役ちょっと考えられない位にはまっています。それまでは、「美しいけど、何となく野暮ったいトム・クルーズの奥さん。」だった彼女が、「実は超野心家で、トム・クルーズさえも踏み台にしかねない女優。」である勢いを感じさせたので、余計にダークさが増したのかも知れません。ニコールの、精巧な人形ばりの美しさと、女優としては冴えなかったそれまでの状況が、この役柄に上手く重なって、まさに彼女が弾けた作品です。
余談ですが、ホアキン・フェニックスが本格的に活動を始めたのもこの作品です。彼が演じた頭の弱めな高校生が、あまりにリアルな為に、見る人の心を揺さぶります。これは、ホアキンが、兄リバーに負けない魅力の片鱗を示した記念作でもありますね。
なかなか、エッジが効いたブラックコメディーなので、お勧めです。